テストの平均点を操作する3つ方法(2016/06/27)

期末テストの前半戦が終わりました。今週から後半戦が始まります。

私は、定期テストの勉強では学校のワークやプリントに取り組むようにお子さんたちにすすめているのですが、 「学校のワークだけでは不安」「今まで学校のワークを解いてきたのに高得点が取れなかった」という声もよく聞きます。

まず、高校の場合は学校のワークを解けるようにしていけば、たいていは高得点が取れます。 内容が難しく範囲が広いので、ワークと同じ難易度の問題を出題しても平均点が高くならないからです。 前回のテストで世界史が学年2番だった子が、「まわりの友達はほかの教材を勉強しているけど、学校のワークを覚えれば点数が取れるのにね」と言っていました。 実際にその子とは学校のワークでしか勉強していません。 ほかの科目もありますから、 授業で世界史に割ける時間は30分程度ですが、 学校のワークを覚えるだけで点数が取れています。 高校生でテストの点数が取れていない場合は、 ワークへの取り組みが不十分である可能性が高いです。

一方、 中学生の場合は学校のワークを解けるようにしていく「だけ」では高得点が取れません。 中学校の内容は簡単なので、 学校のワークと同じ難易度の問題を出すと平均点が高くなってしまいます。 ですから、中学校の定期テストはワークより内容を難しくします。 では、塾や市販の問題集をたくさん解いていけばいいのか、 というとそうでもありません。 やはり、学校の定期テストは学校のワークを中心に取り組んだほうが良い点数が取れます。 (学校の先生は学校のワークや授業内容をもとにテストを作成しますので。)

どうして学校のワークを解いていくだけでは高得点が取れないのか。 理由は、テストの難易度を操作する仕方にあります。 テストを難しくするには次の3つ方法があります。 (これは入試でも共通です。)

1 ワークと同じ考え方をすれば解けるが、処理の仕方を複雑にする。

2 ワークと問い方を変えたり、複数の問題を組み合わせる。

3 ワークにはない、解いたことがないであろう問題を出す。

1の例

ア ルート0.06とルート0.04のどちらが大きいか

イ ルート0.06とルート100分の4のどちらが大きいか

ウ ルート0.06と0.2のどちらが大きいか

エ マイナスルート0.06とマイナス0.2のどちらが大きいか

ア→エの順で処理の仕方が複雑になります。 単位換算(cm→m, 時速→分速など)も難易度を上げるためによく利用されています。

2の例

ア 質量10Nの物体を動滑車を使って2m持ち上げるのに、10秒かかった。このときの仕事率は?

イ 質量10Nの物体を動滑車を使って2m持ち上げた。ひもを0.4m/秒の速さで引いたとする。このときの仕事率は?

アは公式にあたはめるだけで解けますが、

イは

・動滑車を使って物体を2m持ち上げるにはひもを4m引かないといけないこと

・ひもを0.4m/秒の速さで引いたこと

この2つの情報を組み合わせて、 物体を持ち上げるのにかかった時間を自分で求める必要があります。  (4m÷0.4m/秒=10秒)

1と2を組み合わせると、さらに難しい問題を作ることができます。

1+2の例

質量1kgの物体を動滑車で200cm持ち上げた。 糸を0.4m/秒の速さで引いたとする。このときの仕事率は?

このようにして出題すれば、 ワークと同じ考え方をすれば正解できるものの、 平均点が低いテストを作ることができるのです。 定期テストは日頃の勉強の取り組みを確認・評価するものです。 3のタイプの問題を出題すれば平均点を下げることができますが、 それは日頃の勉強の努力を評価する定期テストの趣旨には合いません。 とはいえ、平均点が高すぎると点差がつかずに成績がつけにくくなります。 そこで、1や2のタイプの問題を作ることで、平均点を操作します。

テストの問題が難しいと感じると、 少しでも多くのパターンの問題を解こうとして いろいろな問題集に手を出す子が多いように思います。 ある程度のパターンは潰しておく必要はありますが、 私から見ると学校のワークや授業中のプリントを全部解けるようにしていけば十分で、 そのほうがあれこれ手を出すよりも高得点に近づきます。 テストが難しく感じるのは、 3のタイプの問題が原因ではなく、 1や2のタイプの問題を解くことができていないからです。 3のタイプの問題は出題されてもほかの子も解けないので点差はつきません。 点差がつくのは1や2のタイプの問題です。

学校の教材(ワークやプリント類)を解けるようにしていけば 定期テストでは高得点が取れると私は思います。 ただ解くだけでは高得点は取れません。 処理能力を高めて(1のタイプ対策)、 本質を理解していくこと(2のタイプ対策)が必要です。

このページの先頭へ