抽象的な内容を簡単な言葉で言いかえてみる(2015/10/26)

今年も残すところ2カ月ですね。 学生時代は1年が長く思えて、 月曜日は「次の日曜日まで1週間もある」と憂鬱だったのですが、 社会人になると1年が新幹線のように過ぎ去っていきます。 有難いことに、最近は日曜日を使わないと授業時間が足りなくなってきて、 今年も入試シーズンがやってきたなと感じています。 去年の入試がついこの前終わったばかりのような気がしますが(笑)。

今回は「抽象的な内容を具体化する」という話題です。 勉強の内容って高学年になるほどどんどん抽象的になっていきますよね。 身近な実感できる世界からどんどんかけ離れていきます。 だからわからなくなっていくのですよね。 反対に言えば、抽象的な内容を日常使っている簡単な言葉で表現できれば理解するのは容易になるわけです。

例えば、200km/時。これは「1時間に200km進む速さ」だと言いかえれば、 とても速いなと実感できます。/(マイ)の意味がわからなければ、 「100円/個ってどういう意味?」って聞けば、ほとんどの子はすぐに「1個100円!」と答えます。 「時速200kmで3時間走ったら何km進むか?」という問題で、 「は・じ・き」の公式にあてはめて解いている子をときどき見ますが、 「時速200km」の意味がわかっていないのですよね。 理科の「消化」だって、「食べ物を分解すること」だと言いかえるとわかりやすいです。 社会の「需要量、供給量」は、「買いたい人(量)、売りたい人(量)」だと言いかえれば、 「需要が増えれば価格が上がる」ということも日常の感覚で理解できます。

高校の内容に入ると抽象度は格段に上がりますが、 できるだけ具体的にイメージできる形で、 抽象的な言葉を簡単な言葉で言いかえて頭の中に入れていくと良いと思います。

二次関数とx軸との交点は、二次関数とy=0との交点だと言いかえると、 中学校レベルの問題になります。 この言いかえができると、二次不等式を解くときも容易に視覚化できます。 三次関数の増減表を書くときに、微分してf'(x)の値を調べますが、 そのときにf'(a)は接線の傾きだと言いかえて理解しておくと、 どういうグラフになるのかすぐにわかります。

「universal」という英単語は、「普遍的な」という意味だと覚えるのも大切ですが、 それ以上に「いつでもどこでも当てはまる」とか「どこにでもある」と 普段使う言葉で言いかえて覚えておくことが大切です。 英文読解の時に、「universal rule」を「普遍的な法則」と訳すよりは、 「いつでもどこでも当てはまる法則、どこにでもある法則」と訳したほうがわかりやすいですよね。 もちろん、下線部和訳の問題では「普遍的な法則」と書いたほうが良いですけど、 意味がわかって訳しているのと、「フヘンテキナホウソク」と機械的に訳しているのでは 文章を読むスピードがまったく違います。 私の場合は、お子さんと一緒に単語集を覚えるときに、 単語集にイメージしやすい言葉で意味を書いてもらっています。 「unifyの『統合する』の横に『1つにする』って書いておいてね」という具合いですね。 (書いてくれないお子さんもいますけどね。) 単語の意味が具体的にイメージできなければ、 訳すことはできるけれど意味はわからないという状態になってしまいます。 抽象的な単語は、インプットする段階で具体的な言葉に言いかえて覚えておくことが大切です。

化学の「モル」は、鉛筆の「1ダース」をイメージすると理解しやすいです。 12本が1ダース、24本が2ダースと確認した後に、 「6.0×10^23が1モル、12.0×10^23は何モル?」と聞けば、 たいていの子が「2モル」とすぐに答えます。 先日の中間テストで、「モル」という言葉すら聞いたことがないという子を教えましたが、 学校から配布されたプリントを解くのに1時間もかかりませんでした。 イメージできれば内容自体はとても簡単です。 モル濃度(mol/L)だって、1Lあたり何モル入っているかというだけの話で、 100円/個の意味がわかるのに、モル濃度がわからないことはあり得ないのですよね。

抽象的な内容を具体的に簡単な言葉で言いかえてみると、勉強が少し楽しくなると思います。 「少し」かもしれませんが(笑)。ぜひ試してみてください。

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