問題用紙をお借りする理由(2009/11/11)

新型インフルエンザの感染力はすごいようですね。 先月から私が教えているお子さんもインフルエンザに相次いで感染しています。私も先週の始めに体調を崩してしまいました。検査の結果インフルエンザではなく、ただの風邪だったようで2日ほどで治りました。ここ数日は気温の変化が大きいので体調管理が難しいですね。 みなさんもお気を付け下さい。

このHPにも書いていますが、私は定期テストや入試問題の予想問題を作っています。でも、教えているお子さん全員に予想問題をお渡ししているわけではありません。その子の過去のテスト問題を見て、作る必要がない(むしろ作らないほうが良い)と判断したら お渡ししていません。

先日、あるお母さんから「うちの子には予想問題を作ってもらえないのですか?」とご質問を受けました。 私が定期テストのたびにその子の問題用紙と答案用紙をお借りしているものですから、そのお母さんは 予想問題を作るために私が借りていくのだと考えていらっしゃったようです。それで、私が予想問題を作らないので不思議に思われたのでしょう。

学校のテストが学校の問題集からそのまま出題されていたり、市販の問題集に載っている典型問題からの出題が多い場合、予想問題は作っていません。学校の問題集や市販の問題集をきちんと解けるようにしていけば十分だからです。ですから、授業では学校の問題集と市販の問題集を使っています。

私が問題用紙と答案用紙をお借りするのは、お子さんが問題用紙に書いた途中式や解いた痕跡を見るためです。問題用紙を見れば、その子がテストでどのように考えたのかがわかります。(答案用紙を見てもその子の思考過程まではわかりません。)問題用紙にゴチャゴチャと書いてある走り書きを解読して、間違えた原因を突き止める作業をしています。

2か月ほど前から教えている中学2年生の男の子がいます。大変な努力家で、とてもやる気があるお子さんです。学習塾にも通っていて、英語が苦手だということなので、週に1回英語だけを教えています。(最近は数学も一緒に勉強していますが。) 先日のテストは英語の点数が平均点より20点上でした。もっと伸びていくと思います。ところが、数学の点数が伸びなかったようです。学習塾では数学も習っているということなので、塾のテキストも見せてもらいました。ほとんど正解できていました。「どうしてテストでは解けなかったのだろう?」と、問題用紙と答案用紙を借りて自宅でつぶさに見たら、その理由がわかりました。一次関数の変域、特徴、式を答える問題でグラフが書いてありませんでした。一次関数の問題はグラフを書くことが大切です。グラフを書かないと視覚的に問題を理解し解くことができません。このお子さんは、変域や式の求め方は理解できています。でも、これらの問題を解くときにグラフを書く癖をつけていないので、問題を少しひねられただけで たちまち解けなくなってしまったのです。必要な道具は持っているけど、その道具の使い方を知らないというイメージでしょうか。

前回の授業中、このお子さんから「証明問題の解き方のコツは何ですか?」と聞かれました。私は「2つの三角形の向きをそろえて書くこと」 と答えました。そのとき、このお子さんに「三角形の合同条件を覚えること」と答えてもナンセンスです。このお子さんは「合同条件を覚えなさい」と言われなくても自分から覚える努力ができます。私が教えるべきは、「合同条件」という道具をどのようにしたら使うことができるのかを伝えることです。このお子さんの場合、英語も同様で、教え始めた当初から単語をしっかり覚えることができていました。でも、覚えた単語をどのように使うのか理解できていませんでした。英語の場合、道具は単語や構文ですが、その道具を使うためには英語特有の語順を理解することが大切です。語順の理解なくして、単語や構文をどれだけ覚えても英語が得意にはなりません。反対に言えば、このお子さんの場合は単語を覚える努力ができているので、語順を意識して勉強すると英語がどんどんできるようになります。問題用紙と答案用紙を借りて、このように解き方や勉強法の問題点を見つけています。

ちなみに、すべてのお子さんから問題用紙と答案用紙をお借りしているわけではありません。間違えた問題が少ない場合は、授業中に見れば問題点を発見できるのでお借りしていません。それから「問題用紙を見せて」と言っても、問題用紙を探すのに10分以上かかるお子さんもいます。授業時間の無駄ですから、お借りしていません。「次までに用意しておいてね」と一応言いますが、このタイプのお子さんは「なくした」「探すのを忘れた」 という返事が多く、借りる前にそもそも問題用紙すら見せてもらえません。

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