学習塾を転々と変わってきたお子さん(2009/05/29)

先日、中学3年生の女の子のお母さんからお問い合わせを頂いて、お会いしてきました。少し話した感じでは、とってもまじめそうな女の子だったのですが、成績が上がらず塾を転々と変わってきたそうです。中1のときの5教科の成績はオール3、でもそれから少しずつ下がり始めて塾を変わっても成績は下がり 現在はオール2弱。テストの点数から考えると、限りなく1に近い2という印象でした。

こういうお子さんからのご依頼は毎年あるのですが、「せめてあと1年早く出会えていたらな~」 といつも思います。その子のお母さんには、「時間がかかるかもしれません。」と申し上げました。どうして時間がかかるかというと、「基礎学力を確保するには」のページに詳しいのですが、ほぼゼロの段階から積み上げなくてはならないからです。勉強方法にしても、勉強内容にしても。

中学1年生の夏休みから教えている中学3年生の男の子がいます。 テスト前にドカンと勉強量を増やすタイプではなく、コツコツと頑張る子なので、急激にテストの点数が上がることはないですが、 毎回のテストで10位ずつ順位を上げています。当初より順位が50~60番ぐらい上がっているでしょうか。十分に進学校を狙えるくらいの成績です。中1のときの成績は、この男の子も先日会った女の子もほぼ同じです(むしろ女の子の方が良い成績です)。でも、たった1年半でこれだけの差ができてしまうのですね。ちなみに、この女の子は塾の宿題もそれなりにやっていたし、学校の授業もちゃんと聞いているとのこと。ノートも拝見しましたが、たしかにきれいに書いてあります。

では、なぜこれだけの差ができたのかというと、「手抜き」をせずに勉強してきたかどうかです。暗記モノだったら何回も覚えたかどうか、理解系の科目だったら問題がすらすら解けるまで解き直したかどうか。「覚えたつもり、解けたつもり」ではいけません。

でも、勉強している本人は「自分が覚えたつもりで、実際は覚えてないこと」に気付きません。だから、本人は返却されたテストの点数が悪いと、「勉強をしても無駄だ。」とやる気をなくしてしまうのです。私の役割は、この「手抜き」を見抜いて正しい勉強法を身につけさせることです。正しい勉強法を早く身につけさせないと、学年が上がるにつれて「勉強したのに点数が取れない」という泥沼にはまります。私からすると、実際は勉強していないので、点数が取れないのは当たり前なのですけどね。誰かが教えてあげないと、本人は気付きません。

正しい勉強法に変えるだけで、ずいぶんとテストの点数はよくなります。この女の子には、「こうやって勉強するとテストでいい点数が取れるよ。」とアドバイスしました。本来は努力家のお子さんらしいので、意外と早く成績が伸びるかもしれません。受験まで時間がないので、彼女のやる気次第といったところでしょうか。

また、教える側がどのように教えるかで、順調に成績が伸びるかどうか変わってきます。目の前のテストの点数さえ良ければよいという教え方では、学年が上がるにつれて伸び悩みます。英文法一つにしても、その場限りでしか通用しない文法を教えるか、英語の土台となるように文法を教えるかで、その後の英語の伸びがぜんぜん違います。たとえば、「to」の訳し方一つにしても、不定詞と前置詞の違いを意識して教えるかどうかで(不定詞、前置詞という言葉を教えるかは別として) 高校に入ってからの成績の伸びはまったく違うものになります。

ときどき、有名進学校の高校生の中にも、「to」に不定詞と前置詞があることを知らないだけでなく、「主語と目的語」を意識して日本語に訳すことすらできない子もいて驚かされます。主語を「~を」と訳したり、目的語を「~が」と訳したり。中学英語は内容が簡単ですから適当に英語を読んでもそれなりに点数が取れます。でも、こういう「手抜きの」勉強をしてきた子は、高校に入ると、たちまちできなくなります。

私の教え子は、中学生であっても英文の日本語訳をノートに書いています。そして、主語は「~が」、目的語は{~を」で訳すように徹底しています。単語はもとより前置詞一つ一つの意味にこだわって日本語に直すことを繰り返しています。こうして積み上げた英語の土台は高校に入ってから威力を発揮するのです。

ちなみに、先ほどの中1の夏休みから教えている男の子ですが、英語の土台がしっかりできています。コンクリートで固めたくらいしっかりと。先日も、「began to read the book」を「本を読み始めた」ではなく、「本を読むことを始めた」と日本語に訳していました。もちろん、彼は「読み始めた」と訳すこともできます。でも、あえて「読むことを始めた」と日本語に訳したのです。このあたりに、彼の英語力を垣間見ることができるわけです。

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